ブログ《彩の国 健康図書館》の提案書

ブログ《彩の国 健康図書館》の提案書

県政の大きな計画「すこやか彩の国21プラン」のもとで,県立図書館が新たなサービスとして何を考案できるかという観点から,積極的な情報発信の手段としてブログの開設を企画し提案するものである。
ブログは《彩の国 健康図書館》(仮称)とし,県立図書館の健康・医療情報サービスに特化した情報発信の手段に用いるものとする。

●ブログ開設の背景
県民の高齢化
県はこれまで,若年人口・生産年齢人口の比率が全国でも高い活力のある若い県を標榜してきた。しかしながら,国勢調査等の人口動態をもとに県の統計課が予測したところ,今後5年,10年という時間差を以って急激な高齢化が進むこと,全国一の高齢県へと大きく変化することが明らかになった。
このことは,以下の計画でも県の未来予測と今後の県政のあり方が詳解されているところである。
すこやか彩の国21プラン/ヘルシー・フロンティア埼玉県民会議
www.pref.saitama.lg.jp/site/healthy/

今後は健康,医療,福祉,介護などの分野が一層連携し,県民が安心して毎日を過ごし,充実した生活を営める環境を整備・推進することが県政の必須の課題である。
県立図書館でもこうした状況に呼応し,広く県民に健康・医療関連の情報を伝達し日常生活に寄与するサービスとしてブログの開設を提案することとした。

●ライフチャンス・ライブラリーの検討とブログのあり方
埼玉県立図書館ライフチャンス・ライブラリー化に向けて(提言)
www.pref.saitama.lg.jp/page/life-chance-library-main.html

知事公約である「県民に情報格差は生じません」の言下において,県立図書館では一昨年度上記の提言を作成し,引き続き検討を行っている。
提言をまとめた報告書の中では,以下の2点が今回のブログ開設の提案に深く関連付けられる。
・県民の要望−電子的な資料の充実、自宅などからの情報の入手
・県立図書館の課題と改革すべき点
 −情報取得のワンストップ化の推進
 −県民の課題に対応した資料及び情報の収集
 −ウェブ情報の収集・保存・提供

これら県民の要望と図書館の課題と方策の双方を有効に結びつける手だてとして,ブログによるサービスを先行的に行う。
県立図書館のサービスの柱,健康・医療情報の提供にブログを用いることで,
ソーシャル・メディアを活用したWeb情報の広汎な提供を目指す。

●ブログ《彩の国 健康図書館》の導入に際しての方法・効果など

  • 県、64市町村、各種類縁機関、大学、短期大学、専門学校、医療関係団体、患者会などが発信する健康・医療に関する情報を収集し、Webのリンクを設けてこれらを提供する。
  • 情報源(団体・事業者,Web広報,Webニュースなど)の選び方,提供の方法(時系列,分野別)などは運営要項を作成し,柔軟に改訂を行なうこととする。
  • 見込まれる効果としては、県立図書館Webサイトにアクセスする人が誰でも自由に閲覧できるので、普段「お役所」のサイトに接することがない人でも、地域の情報を早く入手でき、各人の生活に役立つ。

それを見た人から情報格差のある人へ伝達される波及効果がある。
事業所広報にとどまっている情報を先行してWebに掲載することから迅速で広範囲な宣伝効果が生ずる。
これらは、情報の供給が限定的で定例・定型的なスタイルに固定しがちなメルマガによる通信手段よりもメリットが大きいのではないか。
子ども読書支援のページで行っている新聞クリッピング記事のような事後情報と比較しても、事前の新鮮な情報は県民の日常生活に寄与するメリットがある。

  • 県庁LANでは現在フリーのブログサイトなどは接続ができない。

県庁と県立図書館双方で使用でき,一般に公開できるブログとしては,下記に準じて考案するのも一法である。
県の公式観光サイト《ちょこたび埼玉》内のブログ《ちょこたびぶろぐ》
www.sainokuni-kanko.jp/blog/

  • コスト面では、従事職員がブログをこまめにアップすることを前提にすると、隔日・4時間=月32時間分の賃金が必要になると考えられる。

●運用しての課題と感想など

  • 運用期間2週間を経て、情報提供をいかに体系だって行うか、情報源はどこまでを縁辺とするかなどの課題が常に生ずることを感じた。
  • たとえば「うつ」「女性に特有のがん」「認知症」だけに的を絞ったとしても、県内各地・各団体のさまざまな情報や催事があり、そこから派生する関連分野の情報に拡大すると、健康・医療情報というブログ運用の趣旨から離れてしまうこともあるのではないか。
  • 高齢者に関する情報を中心とするのか、介護や福祉、心理臨床、運動・スポーツ、育児、家庭医学などの分野はどのように、どれだけ採り上げて行ったらよいのか。ブログの目的が散漫になってしまうのではないか、あるいは情報を幅広く採用する柔軟さが利点ではないかなどの議論が今後必要になると思われる。
  • 効果でも記述したが、Web広報としてアップしていない情報も拾い出して投稿しているので、より迅速で広範囲な提供が可能である。
  • 図書館の所蔵資料(紙媒体)とは離れた情報サービスであり、主管部局がこうした情報の一元化を図り、情報入手のワンストップ化を実現すれば、ブログ自体もその存廃について柔軟に対応することを視野に入れる。